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月に2回、コラムと称して案内サインとは別に、海外のお客様への案内に役立つと思われるテーマを取り上げます。
時々案内文の中に「時間表現」が出てきます。その都度、簡単に説明していましたがもう少しつっこんでお話ししたいと思います。
時間が出てくる案内文例
▼英語で『朝食ブッフェ/メインダイニングにて毎日7:30~10:00オープン/ご予約不可・お席は先着順です』
└ 「早いもの順」を英語で言うと?、簡単な「時間の書き方」をお話ししています。
▼英語で『当日予約は正午12時まで承ります』
└ 「~まで」についてお話ししています。
時間の書き方
12時間制と24時間制
12時間制とは1日を午前と午後に分けて、「午前10時」「午後3時」「午後8時」などと書くこと、
24時間制とは1日24時間をそのまま「10時」「15時」「20時」などと書くことで日本ではどちらもなじみがあります。
何を当たり前のことを…と思うかもしれませんが、24時間制が当たり前ではない国が多いということはご存じでしょうか。
むしろ24時間制を行っている国というのは少ないようで、多くの国は12時間制で表記するようです。
まずは国によって表記方法が違うことがあるということをご理解いただきたいです。
海外の方に向けた案内文であれば相手の理解しやすい方法で書いたほうが親切ですし、こちらの意図も伝わりやすくなります。
つまり日本語で24時間制で書かれているものでも、外国語に訳す場合は12時間制で書くほうがよいのです。
午前と午後 a.m.とp.m.
さて外国語では12時間制で書いたほうがよいということは分かりました。
「午前●時」「午後●時」という書き方ですね。
外国語で書く場合は、“10AM”、“3PM”、“8PM”と、“AM = 午前”と“PM = 午後”を使って表します。
この“AM”と“PM”ですが、それぞれ辞書を引くと下記のように説明されています。
a.m., am
1 ⦅ラテン語⦆ ante meridiem 午前(before noon):11:59 a.m. 午前11時59分.
▶時刻を伴う場合にはその後に置く. また o’clock とは共に用いない.正午の1分後は12:01 p.m. 昼の12時と夜の12時を区別するために,12 noon,12 midnight という言い方をする人も多い.
6 a.m. in the moring や9 p.m. at night のような表現は口語で用いられることがある.
a.m. も p.m. も大文字(特にスモールキャピタル)で A.M.,AM と書かれることがあり,特に印刷物の場合そうである.2 ⦅ラテン語⦆ ante meridiem 夜中の12時から正午まで(特に,夜明けから正午まで)の期間.
『ランダムハウス英和大辞典(第2版)』 小学館
p.m., P.M.
『ランダムハウス英和大辞典(第2版)』 小学館
⦅ラテン語⦆ post meridiem 午後(afternoon)
(1)必ず数字の後につける.
(2)通例,時間と分との間は⦅米⦆ では(:),⦅英⦆ では(.)を使う
こちらの辞書の説明がすべてで分かりやすいのですが、まとめます。
時間の表記
・“AM”と“PM”は、数字の後ろに書きます
日本では「AM10時」などと「AM/PM」を先に言いますが、英語では「10 AM」と数字の後ろに書きます。これは話し言葉も書き言葉も変わりません。
・“o’clock”は“a.m”、“p.m.”と共に使うことはないので、書き言葉で使うことはありません。
10 o’clockと言われても午前なのか午後なのか分からず不親切ですよね。
・正午と深夜12時は、分かりにくいので、“12 noon = 正午12時”や“12 midnight = 深夜12時”と書くことがあります。単に“noon”、“midnight”だけでもそれぞれ「正午」、「深夜12時」の意味になります。
・実は正確に書くと“a.m”、“p.m.”とピリオドが入ります。
ですが、辞書にもあるように“A.M.”と大文字にしたり、“AM”とさらにピリオドを省くこともあります。よく見かけますよね。
会話では午前0時~12時までは“in the morning”、正午から夕方まで“in the afternoon”、夕方から深夜12時まで“in the evening”を使っていうこともあります。
“3 in the morning = 朝の3時、深夜3時”
“8 in the morning = 朝8時、午前8時”
“3 in the afternoon = 午後3時”
“8 in the evening = 午後8時、夜8時”
などです。
morningの感覚が日本語とは違うので慣れるまで注意が必要です。
ひと言
“a.m.”と“p.m.”のピリオドは「省略していますよ」の印です。例えば“mister”の省略記号は“Mr.”とピリオドが入っていますね。
もともとは“a.m. = ante meridiem”、“p.m. = post meridiem”というラテン語の省略語なのです。
私はこの事実を知った時、感動しました。語学オタクなので、こういう雑学が好きなのです。
ついでに似たところで西暦紀元前“B.C.”と西暦(紀元)“A.C.”のピリオドも「省略していますよ」の印で、“B.C. = before Christ(キリストの前)”、“A.D. = anno Domini (キリストが生まれてから)”という意味です。
ややこしいのですが、“A.D.”は数字の前に、“B.C.”は数字の後に置きます。
『新英和大辞典 第6版』研究社より
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