コラム3『皆さんの施設名に正式な外国語名はありますか?』

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月に2回、コラムと称して案内サインとは別に、海外のお客様への案内に役立つと思われるテーマを取り上げます。

今回はいつもの案内文紹介とは趣向を変えて、「施設名」について考えたいと思います。

英語の名前がなくて困った

たとえばホテルや旅館の周辺案内を英文にしてほしいと頼まれることがあります。
コンビニやガソリンスタンドのほか、周辺の観光名所まで車や徒歩で何分で行けますよという案内です。

この時に英語の正式名称がなくて困ったことが何度もあります。高確率で英語の名称がありません。

全国区のコンビニやガソリンスタンドやスーパーであれば店名そのものには英語名がついていることが多いです。ですが、支店名までは英語になっていないことがほとんどです。その土地の名前や「●●駅前」「▲▲前(何かの施設名)」が支店名に使われることもあります。

観光名所も英語名がないところが多くあります。水族館、科学館、展望台などなど。
美術館はけっこう英語名がついている気がします。

文章全体を英語にするためには、英語名のない施設名も英語にしなくてはなりません。
うーん、どうしましょう。

外国語の名前がないと、どうして困るの?

英語名がないのに英語にしなくてはならず困りましたね。
ここでどうするか?

外国語の観光案内サイトに取り上げられている場合は、多く使われている名称を使います。でも非公式の名前ですし、別の名称を使っているサイトもあります。

めぼしい名前も見つけることができなければ、適当に英語名を付けちゃいます。

英文で案内を作るという作業は1箇所だけがやっているわけではなく、あちこちの施設でやっています。

するとどうなるか。

同じ施設のことを指しているのに異なる英語の呼び方がいくつも生み出されることになります。

外国語の案内を読む旅行者は土地勘がなく、日本語も読めないことを前提としています。
似たような名前だけど違う名前になっていたら、同じ施設のことなのか、似たような名前の別の施設があるのか分からなくなります。

自分も海外に行ったときに似て非なる名前の施設がいくつかあったら、同じなのか違うのか迷ってしまうと思います。実際に困ったことがあります。

やはり、お客様にとってはあまり親切な状態ではありません。

よその施設に対して、こういうことを行っている。または、よその施設が自分の施設名を勝手に英語にしていることもあるかもしれません。

また、この作業は言わば固有名詞に勝手に名前を付けることになります。
あまりよいとは言えませんので、できるだけ避けたいです。

外国語の名前をつけよう

解決方法は、自分の施設に外国語の名前をつけることです。
そしてそれをウェブサイトなどでオープンにしましょう。

その正式な外国語名をたくさん使ってもらうことで、一貫性が生まれ、お客様に分かりやすくなります。来てもらうためには分かりやすいのが一番です。

「うちは日本語のお客さんしか来ないから関係ない」と考えている施設もあるかもしれません。

ですが地図に載ることもあるでしょうし、知らないところでどこかの媒体で紹介してもらえているかもしれません。海外のお客様が多く訪れている現実を考えていると、関係ないというのはちょっともったいない気がします。

「積極的に海外のお客様に来てもらいたいと思っている」施設であれば、ぜひとも外国語の名前をつけてください。館内にレストラン、売店、バーなどがあれば、そういう施設にも外国語の名前をつけてみてはいかがでしょうか。

名前を機械翻訳にかけるのは危険!

英語の名前を付けるときは、機械翻訳は使わず外国語ができる人に相談してください。

固有名詞を機械翻訳にかけると単純にローマ字にされることがあります。
そのローマ字は、その外国語として伝わるものなのか注意が必要です。

固有名詞とは違いますが、過去に「Omaru shrimp」とメニューに書かれたものを見たことがあります。「オマール海老」を機械翻訳にかけてローマ字にされてしまったのを、その担当者は英語になったと思って使ったのだと思います。

ちなみにオマールはフランス語で「homard」とつづります。
英語にすると「lobster」ロブスターです。

外国語に詳しくない人が機械翻訳を使うと、正しく訳されたのかどうかも判断できないことがあります。

自分の施設の大切な名前なので、正しいか判断できないものは使わずに、外国語ができる人に相談するほうがよいと思います。

※機械翻訳すべてを否定しているものではありませんが、間違いが混ざっていることを考えると、お客様に発信するものに使うのは避けた方がよいと考えています。

ひと言

「正式な外国語名を持ってほしい」と常々思っていることを書いてみました。

飛行機で簡単に行き来できる世の中ですし、政府も訪日観光客の増加に力を入れています。
世界中ともオンラインでつながっていますから、どこでどう発信されているか分かりません。

自分の施設を適当ないろいろな名前で発信されるのではなく、どの媒体にでも一貫した公式な名称で載る方がよいと思うのですが、いかがでしょうか。

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サイト運営者について
温泉チェーン、外資系ホテル、旅館支援など、宿泊業界に20年以上従事してきた中で「これ、英語で何て言うの?」を調べ続けてきました。
その経験を基に多言語で案内文を紹介します。

現在は海外の映像に日本語字幕をつける仕事をしています。
英語のほか、フランス語、ドイツ語、ラテン語、トルコ語を鋭意勉強中。

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